試験目的
防火性能要求がある非住宅木造でDLT床構造の活用を目指し、防火性能を確認しました。
試験概要
30×120スギDLT スパン3.9m、2m×4mの実大DLT床構造で載荷加熱試験(目標加熱時間 45分)によりDLT床構造の防火性能を確認しました。
試験方法
試験動画
試験体仕様
試験体は2,000mm(W)×4,000mm(L)、スパン3.9mのDLT床構造の1体としました。上面には構造用合板t12mmの上貼りを設けました。試験体の仕様を表11に示します。
DLTを天井現わしの床構造で使用するものとし、下面からの加熱のみを想定しました。試験体の姿図を図19に示します。
実施概要
試験場所一般財団法人建材試験センター
試験実施日令和5年2月27日
加熱方法
試験は(一財)建材試験センター制定「防耐火性能試験・評価業務方法書」に規定する次式による標準加熱曲線に沿うよう制御しながら、床の下面を加熱面として45分の加熱を行いました。加熱終了後は速やかに脱炉し、注水消火しました。T=345log10(8t+1)+20
ここで、T:加熱温度(℃)、t:試験の時間経過(分)試験体は(一財)建材試験センター水平炉炉にて、加力治具により断面に長期許容応力度に相当する応力度が生じるように載荷加熱しました。載荷荷重についての検討を表12に示します。
測定項目
①加熱温度
加熱温度はJIS C 1605に規定するクラス2の性能を有する線径3.2㎜のSKシース熱電対を使用し、その熱接点を試験体表⾯から100mm離れた位置に10点設置して測定しました。
②内部温度、合板表面温度、裏面温度 測定位置
試験体内部および裏面温度測定位置、たわみ量測定位置を表13および図20、図21示します。
判定基準
試験は下記①~③を評価基準としています。
①非損傷性
最大たわみ量(L2/400d)と最大たわみ速度が制限値以下(L2/9000d)であること。ただし、最大たわみ速度は、たわみ量がL/30を超えるまで適用しない。
②遮熱性
裏面温度上昇が、試験終了時まで、平均で140K以下、最高で180K以下であること。
③遮炎性
・非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がないこと。
・非加熱面で10秒を超えて継続する発炎がないこと。
・火炎が通る亀裂等の損傷を生じないこと。
試験結果
試験場所一般財団法人建材試験センター
試験実施日令和5年2月27日
加熱試験終了後、脱炉し放水消火を行いました。加熱終了、脱炉・注水消火まで約10分経過しました。試験結果を表14に示します。温度、変位の測定結果を図22~図26に、残存断面測定結果を図 32に示します。
試験結果より
45分載荷加熱試験を実施しました。試験体にはDLTパネル同士のジョイント部分に4mmの隙間を設け、隙間上部に合板目地が位置するように配置しましたが、図24より非加熱面への炎の貫通や制限値を超える温度上昇がないことから遮炎性、遮熱性が確認できました。図23より載荷荷重とたわみ量が91.3mm、87.7mm(平均89.5mm)と制限値317mm(L2/400d )以下で非損傷性も確認でき、スギDLT 30mm×120mm、スパン3.90mで45分準耐火構造 床と同等の性能を有することが確認されました。