マスティンバー

マスティンバーとは?

マスティンバー(mass timber)とは、板材などの複数の木材を組み合わせることで、大型の木質部材にしたものです。大型な木質部材にすることで、建築部材として必要な構造強度を担保し、また多くの木材を使用することで炭素の貯蔵効果も果たします。マスティンバー登場により、これまでの木質材料では難しかった大型化、高層化した木造建築を実現する可能性が広がりました。最近では中大規模建築を中心に、様々なマスティンバーが活用されています。国産材活用の観点からも、木材を多用するマスティンバーは、新しい木材活用の手法として期待されています。

長谷萬グループでは、カーボンニュートラルな持続可能で豊かな社会づくりに向けて、CLT、NLT、DLTといったマスティンバーを、適材適所で活用していくことを進めています。用途に合わせた様々なマスティンバーの活用を、木材のプロフェッショナルとしてご提案いたします。お気軽にお問合せください。

代表的なマスティンバーのご紹介

CLT(Cross Laminated Timber)

マスティンバーには、様々な種類があります。代表的なマスティンバーは、CLT(Cross Laminated Timber)と言えます。CLTとは、ひき板を並べ、木材の繊維方向が直交するように接着剤で接合した大型パネルです。製造工場によっては、幅3メートル、長さ12メートルといった大型の版も製造可能です。CLTの厚さは、ひき板の積層枚数によって、120mm、150mm、180mm、210mm、270mmなどがあります。ひき板の樹種は、スギ、ヒノキ、カラマツなどがあります。

CLTは元々、欧州で1990年代頃から発展した木質素材です。現在は、日本、欧州、北米地域で活用されています。日本では製造規格となるJAS(日本農林規格)が制定され、CLT関連の建築基準法告示が公布・施行され、活用が進んでいます。長谷萬グループでは、CLTのプレカット加工や、CLT建築物の施工に対応しています。お気軽にご相談ください。

CLT 施工の様子
加工前のCLT
CLT 加工の様子

NLT(Nail Laminated Timber)

NLT(Nail Laminated Timber)とは、ひき板同士に釘やビスを打って接合し、大型の版にするマスティンバーです。日本では一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会が技術開発を進めています。北米では既に100年以上前から、大型木造建築物にNLTが使用された事例があります。ツーバイフォー材のNLTの場合、SPF材の2×6材(38×140mm)、2×8材(38mm×184mm)、2×10材(38mm×235mm)などを活用した、NLTを製造します。SPF材は入手が容易ですが、国産材の場合、2×6材、2×8材、2×10材のようなサイズの場合、都度、製材し調達する必要があります。NLTは途中でジョイントを設けることが可能なため、短い製材を継いで製作が可能です。

長尺パネルは、実長約12m、支持スパン8mが可能となっています。接着工程が無いため、釘やビスでひき板を接合するだけの比較的簡素な工程で製造ができるマスティンバーです。一方、接合材に釘を用いるため、パネル製作後の切断や穴開け等の加工は釘と刃物の干渉があり難しいため、予め配慮が必要となります。長谷萬グループでは、ツーバイフォーのパネル製作のノウハウを活かし、セル生産によるNLTパネルの製造が可能です。また、NLTを用いた建築物の施工にも対応いたします。

NLT

WOOD.ALC

WOOD.ALCは、鉄骨造の建築物の非耐力壁(帳壁・カーテンウォール)として活用する、厚板パネルです。杉などのひき板(ラミナ)同士を接着したパネルで、パネルの厚さは105mmまたは120mmで、幅450mm、長さ3000~4000mmの木製集成板です。

鉄骨造のカーテンウォールとして使用する場合は、WOOD.ALCパネルを専用金具で鉄骨躯体に取り付けることで、地震時にロッキングができるロッキング工法となります。長谷萬グループは、WOOD.ALCのプレカットや施工等に対応いたします。

WOOD.ALC
低炭素社会を達成させる木材 WOOD.ALC

DLT(Dowel Laminated Timber)

DLT(Dowel Laminated timber)は、製材を木ダボだけで接合した木質素材です。元々、スイス連邦ローザンヌ工科大学の木構造研究者である故ユリウス・ナッテラー名誉教授が40年以上前に考案した、ドイツ語で「ブレッドシュタッペル」という、製材を積層してつくる木質素材の一種です。現在、ドイツ、スイスの中山間部にある中小製材事業者や工務店が、生産網を築き生産・活用しています。北米でも生産が開始され、日本でも活用が始まっています。

DLT 基本タイプ

DLTの樹種は、国産材の杉、桧、カラマツなど針葉樹のほか、国内各地域の針葉樹を活用可能です。丸太のご支給にも対応いたしますので、詳しくはご相談ください。
輸入材では、北米材のSPF(スプルース、パイン、ファー)も活用できます。木ダボは欧州ブナを使用しております。

DLTは接着剤を使用せず、穴あけ・ダボ打ちというシンプルな加工工程のため、意匠性の高い様々な形や表面形状のものが作りやすいという特長があります。また、機能性においても、吸音材を挟み込んだ吸音DLTをつくることが可能です。
DLTは、抜け節や丸身のはいった材など、通常では使わない、いわゆるB材もしくはハネ材などをあえて使い、木そのものの特徴を活かした面材を作り上げることが可能です。丸身や皮付き材など低質材を意匠材として活用でき、製材の価値向上や歩留り向上につながります。

DLT丸身付きタイプ
DLT 吸音タイプ

DLTは、シンプルな加工工程のため、小規模なセル生産で製造が可能で、地域分散型で生産することで、地域産業の活性化につながります。大型の加工設備が不要なため、中小木材事業者でも取り組みやすい木材製品と言えます。

DLTは、積層に接着剤や釘を用いないため、製造時や廃棄時の環境負荷量の低減が可能です。接合材が木ダボのため自然由来の材料しか使わないという点や、穴を開けて木ダボを通すだけなので製造過程において消費エネルギーが少ない点において、よりエシカルなマスティンバーと言えます。

DLTは、屋外でも活用が可能です。DLTに防腐・防蟻処理用木材保存剤を加圧注入処理することで、外部でのマスティンバー活用が可能となります。詳しくはお問合せください。

DLT 屋外用タイプ

代表的なマスティンバーの相違点 比較表

CLT NLT DLT
Cross Laminated Timber Nail Laminated Timbre Dowel Laminated Timber
接合方法 接着剤 釘、ビス 木ダボ
樹種 杉、桧、カラマツ等 SPF(スプルース、パイン、ファー)、杉 杉、桧、SPF等 各種針葉樹
※地域材で対応可能
ひき板の形状 平板 平板 平板、角材、平角材
ひき板の厚さ 30mm ツーバイフォー材の場合:38mm 20mm以上。指定厚さで製造可能
パネルのサイズ 巾:〜3m、長さ:〜12m 巾:積載可能範囲、長さ:〜12m 巾:〜0.5m、長さ:〜4m
※連結し巾約4mまで可
※長さは原木長さによる
パネルの厚さ 120mm、150mm、180mm、210mm、270mm等。ひき板の重ね枚数による ツーバイ材の場合、140mm、184mm、235mm、286mm 60mm、89mm、105mm、120mm、140mm、150mm等、指定厚さで製造可能
防火性能 床(室内側現しの場合) 燃え代設計で対応 1時間準耐火構造大臣認定 無し※
屋根(室内側現しの場合) 燃え代設計で対応 30分準耐火構造大臣認定 無し※
外壁(室内側現しの場合) 30分防火構造大臣認定 無し 無し
その他 屋外仕様 ○:乾式注入で、パネルが注入釜に入るサイズの場合 ○:釘が錆びない薬剤の場合
丸身材の活用 ○(意匠用途の場合)
溝、ベベル等、表面加工 ○(意匠用途の場合)
吸音仕様
対応するJAS規格 直交集成板の日本農林規格 ツーバイフォー材の場合:枠組壁工法構造用製材の日本農林規格。(NLTを定義する日本農林規格は無い) 一般製材の場合:製材の日本農林規格。ツーバイフォー材の場合:枠組壁工法構造用製材の日本農林規格。(DLTを定義する日本農林規格は無い)
対応する建築基準法・関連法規 国土交通省告示 第611号~613号 ツーバイフォー材の場合:平成13年 国⼟交通省告⽰ 第1540号(NLTを定義する建築基準法関連法規は無い) 一般製材の場合:建築基準法施行令第41条「木材」、ツーバイフォー材の場合:平成13年 国⼟交通省告⽰ 第1540号(DLTを定義する建築基準法関連法規は無い)

備考:本比較表について、ご不明点等は(株)長谷萬 開発本部までお問合せください。
※DLTの床は準耐火構造大臣認定取得予定です。

お問い合わせ先

マスティンバー全般に関するお問合せ株式会社長谷萬 開発本部
電話:03-5809-8577 Mail:post@haseman.co.jp

CLT、DLT、NLT 加工に関するお問合せ・お見積り株式会社長谷川萬治商店 特殊木造事業部
電話:0276-70-6151 Mail:post@haseman.co.jp

CLT、DLT、NLT 施工に関するお問合せ・お見積り株式会社長谷萬 カスタムホームズ事業本部
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