試験目的
小型試験炉での加熱試験の結果をふまえ、水平炉で2m×4m程度の試験体による荷重載荷加熱試験により、DLTパネルが準耐火構造の性能を有するか確認します。
目標加熱時間は試験体A スギ206DLTでは60分、試験体B スギ30×105DLTでは45分とし、それぞれ60分準耐火構造床、45分準耐火構造床、または30分準耐火構造屋根と同等の性能を有するか確認しました。
試験概要
1) 試験体の仕様
試験体は2,000mm(W)×4,000mm(L)、スパン3.9mのDLT床構造とし、予備試験の結果より試験体には予め4mmの隙間を設け、上面には構造用合板 t12mmの上貼りを設けました。試験体は表5の2体としました。

2) 試験体
DLTは天井現わしの床構造や屋根構造としての使用を想定し、下面からの加熱のみを想定しました。試験体A、Bの姿図を図3、図4に示します。
※試験体の基本構成は小型試験炉での加熱試験と同じ仕様ですが、載荷加熱による木ダボの影響の有無を確認するため、スパン中央部に木ダボ貫通部を設け、全幅に渡りラミナの断面欠損を生じさせています。


試験方法
1) 加熱方法
試験は(一財)建材試験センター制定「防耐火性能試験・評価業務方法書」に規定する次式による標準加熱曲線に沿うよう制御しながら、床の下面を加熱面として試験体Aでは60分、試験体Bでは45分の加熱を行いました。加熱終了後は速やかに脱炉し、注水消火しました。

試験体は図5に示す加熱炉にて、加力治具により断面に長期許容応力度に相当する応力度が生じるように載荷加熱しました。
載荷荷重についての検討を表6に示します。試験体Aで使用した38×140は枠組壁工法構造用製材サイズですが、作用荷重が大きく危険側となる針葉樹構造用製材(スギ)の甲種2級の基準強度(25.8N/mm2)を採用しています。



2) 測定項目
① 加熱温度
② 内部温度、合板表面温度、裏面温度
③ たわみ量
試験結果
試験実施一般財団法人建材試験センター 中央試験所
試験日12月21日 試験体A(60分加熱)
12月23日 試験体B(45分加熱)
試験体Aは60分間載荷加熱を実施。試験体Bは試験開始37分経過時に荷重維持が困難になり始めたため、安全性を考え試験場判断により38分で加熱を中止しました。
加熱試験終了後、加力治具を解体し鋼製枠ごと脱炉し放水消火を行いました。加熱終了、脱炉まで試験体Aでは約9分、試験体Bでは約11分経過しました。試験結果を表7に示します。

図6 試験体A 加熱温度測定結果 図7 試験体B 加熱温度測定結果
1) 試験体A
図8 試験体A 荷重‐変位測定結果 図9 試験体A 合板裏面温度測定結果 図10 試験体A 内部温度測定結果 図11 試験体A 合板表面温度測定結果
2) 試験体B
図12 試験体B 荷重‐変位測定結果 図13 試験体B 裏面温度測定結果 図14 試験体B 内部温度測定結果 図15 試験体B 合板表面温度測定結果
試験結果の考察
1) DLTの防火性能について
試験体A スギ38×140DLT スパン3.9mは、60分載荷加熱試験にて最大たわみ量は制限値以下で、非加熱側への炎の噴出がなく、裏面温度の上昇も制限値以下と遮炎性、遮熱性が確認され、60分準耐火構造 床と同等の性能を有すると推測されます。
試験体B スギ30×105DLT スパン3.9mは、45分加熱載荷加熱のところ37分時点で荷重保持が困難になり試験を中止したことから、45分準耐火構造床の性能を有することを確認できませんでしたが、経過状況から30分準耐火構造 屋根と同等の性能を有すると推測されます。
2) DLTの炭化速度について
表7より木材内部温度が260℃を超えた時間より炭化速度を求め、無載荷加熱試験と載荷加熱試験の炭化速度と比較を表8で示します。スギ 30×105DLTでは載荷加熱の炭化速度は無載荷加熱に比べ12~13%程度大きいことが確認されました。

図14より試験体Bの加熱面より42.5mmの温度が約34分時点で260℃まで燃え進んでいることから、部分的に急激に変形が進んだものと推測されます。無載荷加熱試験では試験体Bの同じ位置の温度計は260℃まで達していないので、載荷加熱による局部的な燃え込みが生じています。
3) DLTのたわみ量について
設計値と実測値との比較を表 9に示します。試験体Aでは概ね設計値に相当する値が得られました。試験体Bは加熱37分で試験中止したため、たわみ量は参考値とします。図8より試験体Aは加熱開始30分頃よりたわみ量が加速度的に増加しています。
また、図12より試験体Bは加熱開始20分頃よりたわみ量が加速度的に増加しています。
木材温度が150~200℃で弾性係数が75~65%程度に低下することから、断面減少と加熱領域の増加による弾性係数の低下によりたわみ量が増加したと推測されます。
本試験では試験体のスパン中央部に木ダボ貫通部を設けました。試験体Bの残存断面の観察でスパン中央部のラミナに水平方向の割れが目視で確認できました。木材温度が150~200℃に達すると常温に比べ木材強度は60~50%程度に、弾性係数は75~65%程度に低下するとされ、図14でB-1-2(深さ42.5mm)が150℃を超えた時点より強度低下し始め、B-1-3(深さ60mm)が150℃を超えた35分以降にスパン中央の木ダボ貫通部でラミナの曲げ破壊が生じ始めたことにより、荷重保持が困難になったものと推測されます。

4) DLTの裏面温度について
試験体A、Bとも試験体中央部に4mmの隙間を設けました。試験体Aでは隙間の合板表面温度は試験終了時点で平均95℃(図11)、隙間上の裏面温度は平均51.6℃でした(図9)。
一方、試験体Bではスパン中央から左右900mmの2カ所の隙間の合板表面温度は試験終了時点で平均95℃でしたが(図15)、スパン中央で加熱後25分頃から温度上昇し30分経過後に260℃に達し、試験終了時点で444.5℃でした。また隙間上の裏面温度は平均66.1℃ですdが、スパン中央えは106.9℃に達しています(図13)。断面不足から変形が大きくなり隙間近傍のラミナで燃焼が進み、大きく燃え込んだためです。なお、試験中、試験終了時に裏面からの炎の噴出、発炎は確認されませんでしたが、加熱終了、脱炉・消火まで11分程度燃焼が続いたため、残存断面の観察では大きく燃え込んだ状態となっています。
試験写真
1) 試験体A(スギ 38×140)試験状況
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写真5 試験体設置状況 -
写真6 炉内加熱面 -
写真7 荷重載荷治具 -
写真8 加熱炉全景 -
写真9 加熱開始時の状況 -
写真10 加熱開始時の裏面の拡大 -
写真11 加熱終了時の状況 -
写真12 脱炉状況 -
写真13 脱炉後の加熱面 -
写真14 加熱面の拡大 -
写真15 試験体A スパン中央 切断面 -
写真16 試験体A スパン中央+455部 切断面 -
写真17 残存断面の観察(パネル継ぎ手部分) -
写真18 残存断面の観察(隙間部分) -
写真19 残存断面の観察(隙間部分) -
写真20 残存断面の観察(隙間部分)
2) 試験体B(スギ 30×105)試験状況
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写真21 試験体の設置状況 -
写真22 炉内加熱面 -
写真23 荷重載荷治具 -
写真24 加熱炉全景 -
写真25 加熱開始時の状況 -
写真26 加熱開始時の裏面の拡大 -
写真27 加熱終了時の状況 -
写真28 脱炉状況 -
写真29 脱炉後の加熱面 -
写真30 加熱面の拡大 -
写真31 試験体B スパン中央 切断面 -
写真32 試験体B スパン中央+455部 切断面 -
写真33 残存断面の観察(パネル継ぎ手部分) -
写真34 残存断面の観察(隙間部分) -
写真35 残存断面の観察(隙間部分) -
写真36 残存断面の観察(隙間部分)