実施結果
DLTの防火性能について
スギ38×140DLT スパン3.9mは、60分載荷加熱試験にて最大たわみ量は制限値以下、非加熱側への炎の噴出がなく、裏面温度の上昇も制限値以下と遮炎性、遮熱性が確認され、60分準耐火構造床と同等の性能を有すると推測されます。
スギ30×105DLT スパン3.9mは、45分加熱載荷加熱のところ37分時点で荷重保持が困難になり試験を中止。45分準耐火構造床の性能を有することを確認できませんでしたが、経過状況から30分準耐火構造屋根と同等の性能を有すると推測されます。
事業の背景
これまで主にDLTの構造面での性能評価を進め、防火性能が要求されない戸建て住宅や低層木造建築物でDLTの活用を推進し活用が増えつつあります。DLTによる木質感あふれる室内空間の特徴や、パネル化による施工性の良さから、住宅用途や非住宅木造での利用が始まっています。
一方、DLTのさらなる利用領域の拡大のために、床面積の大きい非住宅中大規模木造、木造以外のS造・RC造でのDLT利用の道筋が求められます、そうした中大規模木造等への適用で必要となるDLTの防火性能の検証は国内未実施で、DLTの耐火性能は把握できていません。
準耐火建築物で構造材を木材現わしとする場合、準耐火構造の構造方法を定める告示(平12建告1358号)により燃えしろ設計が必要となりますが、集成材やCLT等の接着による積層材と異なり、薄い板を木ダボで積層するDLTは燃えしろ設計に適合しません。また、DLTには積層材の隙間からの燃えひろがりや燃え抜け、木ダボの燃焼などの懸念もあり、こうしたDLTの特徴をふまえた防火性能の検証が、DLT利用拡大の観点で必要といえます。

本事業の目的
本事業ではDLTの加熱試験を行い、実際にDLTを燃やしDLT の防火性能の検証・確認しました。
事業実施体制
製材業者、大学・研究機関と連携し、以下のメンバーの検討委員で検討を進めました。(敬称省略)
委員⻑
安井 昇(桜設計集団一級建築士事務所 代表)
委員
網野 禎昭(法政大学デザイン工学部建築学科 教授)
宮田 雄二郎(法政大学デザイン工学部建築学科 准教授)
花井 厚周(株式会社竹中工務店 木造・木質建築推進本部 副部⻑)
小井圡 義治(小井土製材株式会社 代表取締役社長)
大貫 肇(物林株式会社 新事業推進部 部⻑)
原田 寿郎(森林研究・整備機構 森林総合研究所 研究専門員)
野中 峻平(一般財団法人ベターリビング つくば建築試験研究センター)
河野 博紀(一般財団法人建材試験センター 中央試験場)
深町 尚子(群馬県森林環境部)
⻑⾕川 泰治(株式会社⻑⾕萬 代表取締役社⻑)
オブザーバー
高木 望(林野庁 林政部 木材産業課 課長補佐)
熊谷 有理(林野庁 林政部 木材産業課 木材専門官)
松本 陽子(林野庁 林政部 木材産業課 木材専門官)
平原 章雄(木構造振興株式会社 常務取締役)
宮城県CLT 等普及推進協議会
事務局
鈴木康史、小林⾠美(株式会社⻑⾕萬)
全体スケジュール

委員会の開催⽇程
第1回 令和3年6月23日(水曜日) 14:00〜15:30 オンライン
第2回 令和3年11月1日(月曜日) 10:00〜11:30 オンライン
第3回 令和4年1月28日(金曜日) 10:00〜11:30 オンライン
実施内容について
以下リンクより各検証の内容をご覧いただけます